2001/11/23

2001/11/23 東京コスプレプロジェクトFILE:04@大田区産業プラザPiO

はい。やってまいりました。緑かぶりしまくりでカメラマン泣かせのPiOでございます。

というわけで、相変わらず盛大に緑かぶりしていてとっても気分もブルーです。一応レタッチ頑張ってみたんですが、どうにも満足行く色になりませんねえ。webつついてみると結構イイ線までレタッチされている方もいらっしゃるみたいですけど、一体どうやってるんでしょう？是非ノウハウをお伺いしたいところです。

今回は撮影時に、W4という見た目はちょっと茶色っぽい、色温度を下げるフィルタを使ってみましたが、ダメですね。やはりアプローチの仕方が間違っているようです。

照明の性質を表す指標として、色味を表す相関色温度、そして物がどれだけ自然に見えるかを表す指標である、平均演色評価数(Ra)があります。色温度は晴天の昼光が6000K程度で、低くなるほど赤っぽく(白熱電灯は3000～3500K)、高くなるほど青白く(晴天の日陰や曇天は7000K程度)なります。演色評価数が100に近いほど自然に見える(自然光で見た色に近い)照明で、普通の家庭で使われているような三波長形蛍光灯は、大体Ra90前後とされています。

PiOで使われている照明は水銀灯で、水銀灯には透明型と蛍光型の2種類がありますが、前者が色温度5700K, Ra14、後者が色温度4100K, Ra40とかそんなもんだったりします(もちろん製品によって差はあります)。PiOでどちらを使っているのかわかりませんが、いずれにせよ、かなり色ずれしやすいことがわかります。

肉眼はとても感じられる光の明暗の範囲が広いのに対し、カメラのフィルムなどは狭いため、限られた範囲の明暗の変化が真っ黒から真っ白までの間に拡大されて写ります。つまり、明るさや色の変化に敏感なんですね。PiOの照明では、肉眼でも明らかに肌色が不健康にやや緑がかった黄色のように見えるくらいですので、カメラで撮るとどうなるかは言うまでもありません。

演色評価数は照明光の波長の分布の偏りを示すものですので、レンズに入ってくる光の波長分布を補正することで、改善することはできるかもしれません。あ、そんなことするよりはPCに取り込んで補正掛けた方が楽か。。。でも水銀灯用の補正カーブ作るのが大変ですね。職人さん求ム。

色温度は基本的にはカラーバランスをいじればよいのですが、フィルムの輝度濃度特性(当てられた光の量に対して、フィルム上の色素の濃さ(感度)がどれだけになるか)は非線形(比例しない。要するに10の光を当ててから現像したフィルムを見ると10の明るさに見えても、1の明るさを当てて現像しても1の明るさで見えるわけではない、ということ)で、さらに三原色(RGB)それぞればらつきがあるため、全体をいじるだけではカラーバランスが崩れてしまうんですねー。泣きそうです。

上記の問題は厳密な色補正を行うことで何とかなりますが、それ以上に問題なのが水銀灯照明(定常光)とストロボ(フラッシュ光)が混ざる(ミックス光源)になることです。ストロボの光はほぼ昼光に近い色温度なので、水銀灯とは色味など性質が違います。

水銀灯の方は天井から当たっていますが、ストロボは正面から当てています。このように写真を撮ってしまうと、フラッシュ光の当たっている割合の大きい正面側の面は、比較的カラーバランスが良いのですが、たとえば肩や腕など、フラッシュ光があまり届かず定常光の割合が多い面は、水銀灯照明の性質の影響を受け、そこだけが緑がかってしまうのです。全体が緑がかってしまっている場合は、色補正によってなんとかすることは可能ですが、肩や側面だけが緑がかってしまうと、補正はかなり困難です。一応補正によってかなり改善はできたと思いますが、他の部分の色が変わるとか背景が荒れるなどの副作用も・・・。

これを解決するには、ストロボにフィルタを掛けて水銀灯と同じような色温度などにして、光の性質を近づけておき、レンズの方にマゼンタ系のフィルタを掛けることで相殺することができるはずです。ただ、緑やマゼンタのフィルタならいいというものではなく、水銀灯に合わせてカラーバランスを設計する必要があります。その辺の難しさで今のところ「検討中」なのですが、実際PiOの会場でも同様のことを実践されている方を1人だけ目撃しました。

さて、めちゃくちゃ前口上が長くなりましたが、そんなわけで「私こんなに不健康な肌してないよー」とお気を悪くなさらないでくださいねー＞撮影させていただいたレイヤーさんのみなさま

るみねさん (七瀬葵先生のオリキャラシフォン)